お酒飲む人必見! あなたはお酒に強い体質? 弱い体質? 実はそれだけじゃない⁉ 5つの体質!
こんにちは。熊本の禁酒カウンセラー、溝尻啓二です。
今回は「お酒に強い体質・お酒に弱い体質」といった、いわゆる「体質」についてです。
皆さまはお酒を飲むとどうなりますか?
ほろ酔い気分になり、爽快な気分になりますか?
頭が痛くなり、二日酔いになりますか?
翌日にも酒が残ったりしますか?
それとも、吐くので飲めませんか?
お酒に強い「ざる」と呼ばれる人から、全く飲めない人「下戸」と呼ばれる人まで様々な人がいます。
そしてその中でも「お酒が弱い体質とお酒が飲めない体質」が見られるのは、日本人をはじめとする黄色人種にだけ見られる特徴だというのをご存知ですか?
日本人の場合、
お酒に強い体質は50%程度。
お酒に弱い体質が40%程度。
全く飲めない体質が10%程度となっています。
ちなみに、黒人や白人はほぼ100%がお酒に強い体質です。
では、お酒に強い体質、弱い体質とは具体的にどういう体質と思いますか?
一般的に、お酒に強い人のイメージといえば、
「酒に強い体質の人はアルコールの分解が速い人で、お酒に弱い体質の人は分解が遅い人」
もしくは、
「飲んでも顔が赤くならない人はお酒に強い体質で、顏が赤くなる人はお酒に弱い体質」
ではないでしょうか?
これはどちらが正解というわけではなく、どちらも正解です。
そしてこれらの体質は、私たちが保有する「酵素」の働き具合によって決まり、その働き具合は遺伝子によってあらかじめ決まっているとされています。
(詳しくはこちらの記事:アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)とは?)
(詳しくはこちらの記事:アルコール脱水素酵素(ADH)とは?)
他にも、生まれつきのアルコールに対する感受性(お酒に酔いやすい、酔いにくい)もあります。
さらにお酒弱い体質の人でも習慣的に飲酒をして「酵素誘導」を繰り返せば、ある程度お酒に強くなることもできます。
つまり、後天的に「お酒に強い体質になった」人もいるわけです。
このように「お酒に強い体質・お酒に弱い体質」と一口に言っても、実に複雑で多種多様です。
なので、その体質によってお酒の飲み方も十人十色になると言われています。
「お酒は、飲んだら酔っぱらうもの」
確かにその通りです。
ですが、酒の酔いやすさや、酔いの程度、二日酔いのなりやすさは違ってきます。
そして飲酒をすることで、将来健康にどのような影響が出るかも変わってくるのです。
今回は、その体質の見分け方と、お酒とうまく付き合う方法をご紹介したいと思います。
ADH1BとALDH2の働き
アルコールの分解を語る上で、欠かせないのがADHとALDHという2つの酵素の働き具合(活性の高さ)です。
その前に、まず簡単にアルコールの吸収と分解の仕組みをご説明したいと思います。
お酒を飲むと、摂取したアルコールは胃腸で吸収され肝臓に送られます。
そうして肝臓でまずアルコールは、ADH1Bによって有毒なアセトアルデヒドに分解されます。
そうして肝臓で発生した有毒なアセトアルデヒドは、ALDH2によって無害な酢酸に分解されます。
酢酸は肝臓から排出され、血液に乗って全身を巡るうちに二酸化炭素や水に分解され、最終的には呼気や尿となって身体から抜けていきます。
アルコール脱水素酵素………ADH
アルコールをアセトアルデヒドへと分解する酵素。
複数の種類が存在しますが、アルコールの分解で特に重要なのが「1B型アルコール脱水素酵素」、通称「ADH1B」の活性の強弱です。
ADH1Bの遺伝体質によってアルコール分解能力が異なり、「お酒が飲める体質か、飲めない体質かどうか」に関わってきます。
以下の3タイプに分けられます。
・高活性型………分解がかなり速い
・活性型 ………分解が比較的速い
・低活性型………分解が遅い
このADH1Bの活性の高さは、お酒が残りやすいか残りにくいか(アルコールの分解が速いか遅いか)の体質を左右するといわれています。
アセトアルデヒド脱水素酵素………ALDH
ADHがアルコールを分解してできたアセトアルデヒドを、無害な酢酸へと分解する酵素。
複数の種類が存在しますが、アセトアルデヒドの分解で特に重要なのが「2型アセトアルデヒド脱水素酵素」、通称「ALDH2」の活性の強弱です。
ALDH2の遺伝体質によってアセトアルデヒドの分解能力が異なり、「お酒に強いか、弱いか、飲めないか」に関わってきます。
以下の3タイプに分けられます。
・活性型 ………分解が速い
・不活性型………分解が遅い
・失活性型………分解ができない
お酒を飲むと顔が赤くなるのは、アルコール分解の途中で発生する中間代謝物のアルデヒドが主な原因です。
アセトアルデヒドは非常に強い有毒物質で、顔が赤くなる以外にもフラッシング反応という非常に不快な身体反応を引き起こします。
このALDH2の働き具合が、お酒を飲むと顔が赤くなるか赤くならないかの体質を決めます。
(ALDH2の活性のタイプは簡易的にアルコールパッチテストをすることでも分かります)
また、飲酒による健康への影響にも関わってきます。
二種類の酒酔い
私たちの体には、アルコールを貯めておく構造がありません。
なので摂取されたアルコールは速やかに吸収されます。
それと同時に分解も速やかに行われ、消化器官内のアルコールは飲酒後1~2時間もあれば吸収されてしまいます。
アルコールの分解のほとんどは肝臓で行われるわけですが、肝臓の処理能力には限界があります。
肝臓で処理しきれなかったアルコールは血液に戻され(血中のアルコール濃度が上昇)ます。
そうしてアルコールは血液に乗って身体中を巡り、脳などを麻痺させます。
これが「お酒に酔う」という状態です。
一方、肝臓で処理されたアルコールはアセトアルデヒドになります。
このアセトアルデヒドの毒性が顔の紅潮、頭痛、吐き気、めまいといった身体的な反応を引き起こし、悪酔いや二日酔いの原因となります。
つまり「お酒に酔った状態」とは、脳と身体の両方に現れた別々の「酒酔い」で、私たちはそれをひとつのものとして感じているといえます。
(詳しくはこちらの記事:意外と知らない? 酒酔いには実は2種類あった)
ADH1BとALDH2の活性の強弱
日本経済新聞 プラスワンより
脳を麻痺させるアルコールの酒酔いと、身体に作用するアセトアルデヒドの酒酔い。
この2つの「酒酔い」はもともと別ものなので、分解に働く酵素も違ってくるわけですね。
「1B型アルコール脱水素酵素」は脳に影響するアルコールを、
「2型アセトアルデヒド脱水素酵素」は身体に影響するアセトアルデヒドを、
それぞれ分解してくれ、
そしてその酵素の働き具合(活性のタイプ)には、
1B型アルコール脱水素酵素には、高活性型・活性型・低活性型の3種類が、
2型アセトアルデヒド脱水素酵素には、活性型・不活性型・失活性型の3種類が存在します。
久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は、1B型アルコール脱水素酵素と2型アセトアルデヒド脱水素酵素の活性のタイプそれぞれ各3種類、合計で9種類の組み合わせに分けられると言っています。
そして、それをもとにお酒を飲む際の注意点やなりやすい病気などでA~Eまでの5つのタイプを設定しています。
Aタイプ………(47%)
酒量が増えがちなので高血圧、脳梗塞、アルコール依存症になりやすい。
Bタイプ………(39%)
飲酒を続ければある程度お酒が強くなるが、上部消化管癌になりやすい。
Cタイプ………(9.3%)
完全な下戸タイプ。アルコールの分解が遅いので急性アルコール中毒に注意。
Dタイプ………(3%)
顔は赤くならないが、酒が残りやすい。アルコール依存症に最もなりやすく、がんのリスクも高い。
Eタイプ………(2%)
顏は赤くなるが、程度は軽い。アルコール依存症、ガンのリスクはともに高い。
5つのタイプの特徴
日本人に多くみられるタイプは、1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)が活性型か高活性型で、2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)が活性型か不活性型だそうです。
アルコールの分解が速く、アセトアルデヒドの分解も速いタイプか、
アルコールの分解は速いが、アセトアルデヒドの分解が遅いタイプですね。
このタイプが全体の86%を占めていて、それを2型アセトアルデヒド脱水素酵素の活性具合で、AグループとBグループに分けてあります。
ここでA~Eまでのタイプの特徴を見ていきましょう。
Aタイプの特徴………
アルコールを分解するADH1Bが高活性型か活性型で、アセトアルデヒドを分解するALDH2も活性型。
アルコールもアセトアルデヒドも分解速度が速いタイプ。
自他ともに認める酒豪で、いわゆる「ざる」。顔も赤くならない。
アルコールの分解が速く、アセトアルデヒドの分解もはやいため、不快なフラッシング反応を感じにくい。
そのためついつい酒量が増えてしまう傾向があり、高血圧や脳梗塞、アルコール依存症になりやすいといわれています。
Bタイプの特徴………
アルコールを分解するADH1Bが高活性型か活性型で、アセトアルデヒドを分解するALDH2が不活性型。
アルコールの分解は速いが、アセトアルデヒドの分解が遅いタイプ。
少しお酒を飲んだだけでも顏が赤くなる。
飲み続けることで、多少はお酒に強くなることができます。
アルコールの分解は速いのですが、アセトアルデヒドの分解が遅い。
そのためアセトアルデヒドの毒性にさらされる時間が長く、上部消化管癌になりやすいとされています。
Cタイプの特徴………
アルコールを分解するADH1Bは3つのタイプのいずれかで、アセトアルデヒドを分解するALDH2が失活性型。
アルコールの分解が速くても遅くても、アセトアルデヒドを分解する能力が失われているタイプ。
アルコールに弱いどころか、全く受け付けない。いわゆる「下戸」。
奈良漬けや、栄養ドリンクに入っている少量のアルコールでも顔が赤くなってしまいます。
これを訓練や酵素誘導などで克服するのは絶対に不可能とされています。
自ら進んでアルコールを口にすることはないため、アルコール依存症になるリスクはないとされています。
ですが、他人に無理やり飲まされたりすると、急性アルコール中毒になる危険があります。
Dタイプの特徴………
アルコールを分解するADH1Bが低活性型で、アセトアルデヒドを分解するALDH2が活性型。
アルコールの分解は遅いのですが、アセトアルデヒドの分解が速いタイプ。
アセトアルデヒドの分解が速いため顏は赤くなりにくく、フラッシング反応も弱い。
そのため不快感を感じることなくお酒をどんどん飲めてしまいます。
Aタイプと非常に似ていますが、ADH1Bは低活性型なのでアルコールの分解が遅く、お酒が残りやすい体質です。
大量飲酒できるものの、アルコールの分解は遅いため、アルコール依存症に最もなりやすく、癌になるリスクも高いといわれています。
Eタイプの特徴………
アルコールを分解するADH1Bが低活性型で、アセトアルデヒドを分解するALDH2が不活性型。
アルコールの分解が遅く、アセトアルデヒドの分解も遅いタイプ。
お酒を飲めば顔が赤くなりますが、アルコールの分解が遅いため、アセトアルデヒドの発生が緩やか。
そのため、顏の紅潮とフラッシング反応の程度は軽いとされています。
ただ、ALDH2の活性は高くありません。
なので毒性の高いアセトアルデヒドが長く体内に留まることになるため、癌になりやすいとのことです。
まとめとして
いかがでしたか?
全体的に、お酒が残りやすい体質ほどアルコール依存症になりやすく、顏が赤くなりやすい体質ほど癌になりやすい傾向があるようです。
自分がA~Eのどのタイプに属しているのかは、顏が赤くなるかならないかや、二日酔いなどお酒が残りやすいか残りにくいかでおおよその見当はつくのではないかと思います。
とはいえ、酒豪とされるAタイプの方でも、際限なくお酒を飲めるわけではありません。
飲み過ぎれば、必ず二日酔いになりますし、お酒が翌日に残るものです。
そのことも念頭に置いて、自分のタイプを判断してみてください。
お伝えしてきたように、日本人は体質によってアルコールやアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが大きく異なります。
なので、人それぞれによってお酒の飲み方が変わってくるわけですね。
お酒は「百薬の長」と昔から言われ、食欲促進、ストレス発散、コミュニケーションの円滑化、疲労回復など様々な効用があるのは事実です。
しかし、それはあくまで条件付きでの話。
体質によっては、適量、少量であっても安心はできません。
お酒との付き合い方を決めるうえでも、「自分がどのタイプなのか」を把握するのはとても大切なことではないでしょうか?
何かの機会に自分の体質を知っておけば、きっと健康管理に役立つと思います。
※もっと正確に自分のタイプを知りたい場合は、専門機関等で遺伝子検査を受けることをお勧めします。
その他、
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約6,000円ほどで検査キットが購入できます。
唾液のサンプルを抽出して送るだけで、ご自身の酵素のタイプがわかり、それに応じたアドバイスも貰えるようです。