フラッシング反応とは?
こんにちは。熊本の禁酒カウンセラーの溝尻啓二です。
今回の記事ではお酒を飲んだときに現れる様々な身体的反応、「フラッシング反応」について少し詳しく書いていこうと思います。
フラッシング反応とは、お酒を摂取したときに身体に現れる様々な反応の総称です。
お酒を飲んで顔が赤くなるのは、アルコールが代謝されるときに発生するアセトアルデヒドが大きな原因です。
もともとアルコールが持っている血流を促す作用で顔が赤くもなりますが、主に体内に発生したアセトアルデヒドの作用で、顏などの毛細血管が拡張されることで赤くなります。
またアセトアルデヒドは交感神経を強烈に刺激する物質で、それにより脈拍があがるので、結果として血圧があがり、冷や汗が出て、筋肉が緊張するなどの症状が引き起こされます。
それらの複合的な反応をフラッシング反応と呼び、その体質の人をフラッシャーと呼びます。
フラッシャーの多くは、2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが弱い人です。
エタノール(アルコール)の代謝でできたアセトアルデヒドの分解が遅いため、アセトアルデヒドが急激に身体に溜まる事でフラッシング反応を引き起こします。
逆に、2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが強い人は、アセトアルデヒドの分解が速いため、アセトアルデヒドが身体に溜まりにくく、フラッシング反応を引き起こしにくいため、ノンフラッシャーと呼ばれます。
ちなみに私は、フラッシャーです。
お酒を飲み始めた当初は、ビール1杯どころか、たった1口で顔が真っ赤になり、激しい眠気を覚えてすぐに意識を失うほどでした。
そんなフラッシャーだった私が、どうしてアルコール依存症にまでなってしまったのでしょうか?
フラッシング反応は当初不快感を伴うために、フラッシャーの多くは飲酒を控えるか、飲酒をやめるかしてしまう傾向にあります。
しかし、社会に出たり、コンパや合コンに参加するなどして、お酒を飲み続けてアルコール代謝を繰り返していると、2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きが徐々に活性化してきます。
また、大量飲酒をすると、CYP3A4(チトクロームP450)という酵素が誘導され、アルコールの代謝を助けます。これを『酵素誘導』といいます。
この酵素は主に薬物の代謝を行う酵素で、肝臓に多く存在します。
このCYP3A4の活性が上がると、酒量が増えてもフラッシング反応が表れにくくなり、飲むと顏が赤くなる人は顔が赤くなりにくくなります。
つまり飲み続けることでアルコール耐性がアップしている状態になります。
こうなると不快感を感じずに飲酒できるようになります。
私のように、フラッシャーの人間が日々のみ続けていると「自分は酒に強くなった」と勘違いしてしまい、次第に酒の量が増え、最悪の場合はアルコール依存症になってしまうのです。
また、しばらくお酒を飲まない生活が続くと、これらの酵素の活性は下がっていってしまい、少量のお酒でもまたフラッシング反応が出るようになってしまいます。
専門家の先生は、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性は個人差が大きいため、無理に鍛えようとしてはいけないと忠告をします。
フラッシャーでありながら酒を飲み続けて、いわゆる、鍛えることでお酒が強くなったタイプの人は、もともとアルコールの耐性が弱い人です。
いくらアルコールに強くなったといっても、ノンフラッシャーの人に比べればお酒も残りやすく、アセトアルデヒドの毒性に長くさらされることになります。
事実、フラッシャーの酒飲みはノンフラッシャーの酒飲みに比べて咽頭や食道の発癌率が高まることもわかっています。
無理な飲酒は厳禁
これまでお伝えしたように、顏が赤くなるなどのフラッシング反応の原因は主にアセトアルデヒドです。
お酒に強い人というのは、アセトアルデヒドに強い人のことです。
勘違いされがちですが、お酒に強い人というのは、アセトアルデヒドに強い人なのであって、アルコールの分解が速い人ではありません。
フラッシング反応を感じにくいということなのです。
なので、2型アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の活性が高い人はノンフラッシャーが多く、活性が低い人はフラッシャーが多くなります。
ですが、やはり毛細血管への反応には個人差があり、必ずしも一致しないケースもあります。
全くお酒が飲めない体質なのに、顏が赤くならないノンフラッシャーの人もいるのです。
顔が赤くならないからといって、お酒を無理強いするのは厳禁。
ともすれば急性アルコール中毒などで重篤な状態に陥り、最悪の場合死に至るケースもあります。注意してください。
飲酒歴が長いと、自己判断でノンフラッシャーと思い込んでいる人も少なくはないと思います。
癌をはじめとするアルコール疾患のリスクを回避するためにも、自分がフラッシャーなのかノンフラッシャーかを知ることはとても大切です。
その方法として『アルコールパッチテスト』というものがあります。
ですが、上記のように全く飲めない体質の人でも顔が赤くならない人も稀にいますので、より正確に知りたい場合は、遺伝子検査を受けることをお勧めします。