お酒を飲み過ぎる人必見! 二日酔いの予防・前編!
こんにちは。禁酒カウンセラーの溝尻啓二です。
今回のテーマは、二日酔いの予防です。
お酒を飲む人なら誰でも経験したことがある、あの二日酔い………
頭痛と吐き気、身体が怠く、気力も何も湧かないあの状態………
辛いですよね。
私は元アルコール依存者ですので、二日酔いのあの苦しみはよく分かります。
私の場合は、酔いが醒めないうちに、また飲むという飲み方をしていました。
酔って眠る以外は、昼夜にわたって飲み続けるのを数日間続けたこともありました。
これを「連続飲酒発作」というのですが、そんな状態でしたので、二日酔いとの付き合いも長かったです。
もうほぼ毎日が「二日酔い」の状態で、頭痛と吐き気に苛まれ、身体が重くて億劫で、何をする気にもなれませんでした。
酷い飲み方をしたときには、襲い来る吐き気と頭痛に丸一日布団の中でうなされていたこともありました。
今になって思えば、すごく時間を無駄にしていたと思います。
そこで、今回の記事では二日酔いにならない方法を書いていきたいと思います。
私ほどではないにしても、二日酔で時間を無駄にしている方は少なくないのではないでしょうか?
二日酔いで苦しんでいる間は何もできません。
よしんば、何かをやっても面白くないし、むしろ苦しいだけです。
「いや~俺はあの二日酔いの感覚が好きなんだよ。これぞ飲み会の醍醐味でしょ?」
と、言う人はほとんどいないと思います。
夜お酒を飲んで楽しい気分になったのなら、次の日の朝も気持ちよく過ごしたいものですよね。
二日酔はその原因んとメカニズムを知ってさえいれば、予防は誰にでも出来るものです。
今回はその方法を紹介していきたいと思います。
ほとんどの二日酔いは半日もすれば抜けるものですが、その苦しんでいた半日を、気持ちのよい有意義なものにするのにこの記事が参考になれば嬉しいです。
二日酔いの原因はアセトアルデヒド
二日酔いの主原因のひとつ、それは有毒性物質のアセトアルデヒドにあります。
飲んだアルコールのほとんどは肝臓で分解されて、最終的には酢酸となって排出されます。
アセトアルデヒドは、その肝臓がアルコールを分解するゆ過程で発生する有害物質で、その有毒性はアルコールそのものよりも10倍以上と言われ、発がん性物質とされています。
お酒を飲んだときに顔が赤くなったり、血圧が上がったり、冷や汗が出る、動悸がするなどの症状を、総じて「フラッシャー」と呼びますが、二日酔の吐き気や頭痛などの症状もアセトアルデヒドの強い毒性が大きな原因です。
大量飲酒などでその人のアルコール処理能力を超えたアルコールを飲んでしまった場合、当然、肝臓のアルコールの処理が間に合わず、体内にアルコールやアセトアルデヒドが蓄積してしまいます。
肝臓で分解しきれなかったアルコールとアセトアルデヒドは、再び血液に戻されて心臓に送られることになります。
そうして脳をはじめ全身を巡り、このときに身体中にあの二日酔いの不快な症状が引き起こされ、再び肝臓に戻って分解されることになるのです。
また、かつて歓送迎会で横行した一気飲みは非常に危険で、多少の個人差はあっても肝臓のアルコール処理はまず追い付きません。チャンポン(いくつもの種類の酒を飲むこと)も、自分が飲んだアルコールの総量が判らなくなってしまうので危険です。
短時間での急激なアルコール濃度の上昇によりアセトアルデヒドが蓄積すると、昏睡状態になったり、場合によっては急性アルコール中毒で死に至るケースもあります。
以上の事から、二日酔をしないでお酒を飲むための方法はふたつ考えられると思います。
ひとつめは、その原因となるアセトアルデヒドをすぐに分解し、身体に溜めないようにすること。
ふたつめは、アセトアルデヒドの量を増やさないようにすることです。
アルコール分解のプロセス
アルコール(エタノール)を摂取
⇓
アルコール脱水素酵素(ADH)により
アセトアルデヒドへ分解
⇓
アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により
酢酸へ分解
⇓
水、炭酸ガスになり体外へ
身体に入ったアルコールは、小腸で吸収され、血液に溶け込み、肝臓に送られます。
そして、肝臓で、アルコール脱水素酵素(ADH)の働きによってアセトアルデヒドに分解され、さらにアセトアルデヒド分解脱水素酵素(ALDH)の働きにより、最終的には無害な酢酸へと変化します。
アセトアルデヒドは人体に無害な酢酸になったあと、血液に乗って全身を巡りながら水と炭酸ガスなって、体外に排出されるのです。
アルコールの分解には、実はこの酵素の「アセトアルデヒド分解脱水素酵素(ALDH)」働きが大きく関わっています。
アセトアルデヒド分解脱水素酵素(ALDH)
アセトアルデヒドとは、アルコールが分解される際に発生する有毒物質でしたね。
この体内のアセトアルデヒドを分解する主役は、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)と呼ばれる酵素といわれています。
この酵素は全ての人が持っているものです。
でも、お酒に強い人と弱い人、全く飲めない人がいます。
顔がすぐに赤くなる人もいれば、全く顔が赤くならない人もいます。
全ての人がこの酵素を持っているのなら、なぜこのような個人差が出てしまうのでしょうか?
それはアセトアルデヒド分解脱水素酵素(ALDH)には複数の種類があり、そのなかでもALDH2は非常に個人差が大きく、その差がお酒に強いか弱いかを決めることになります。
そして、アセトアルデヒドの分解の主役はこの「ALDH2」で、個人の体質により活性の強弱、もしくは欠けている場合があるのがわかっています。
「ALDH2」の活性が弱い場合、アセトアルデヒドが体内に貯まりやすいので、血液中のアセトアルデヒド濃度が高くなり、不快感や頭痛、吐き気などが生じます。
またALDH2が完全に欠けている人の場合は、いくら訓練してもお酒に強くなることはありません。
つまり、このALDH2の働きが強いと、お酒に強い体質と言われ、アセトアルデヒドを貯め込みにくいため二日酔にもなりにくいのです。
逆に、ALDH2の働きが弱いと、いつまでアセトアルデヒドが身体に残り続けるため、二日酔になりやすいといえます。
このように、お酒に強い弱いは、「アセトアルデヒド」を分解する能力が、お酒に強い・弱いを決めているのであって、お酒に強いタイプだからといって、身体の中のアルコールがより速く無くなったりするわけではありませんので注意してください。
ALDH2を活性化させることはできるのか?
お酒に強いか弱いかを決めるALDH2ですが、これには3つのタイプあります。
活性型(NN型)………ALDH2が安定して正常な働きをします。総じて酒豪と呼ばれるタイプで、アルコールを飲んでも顔が赤くならない人が多い。多少飲み過ぎても頭痛や吐き気、動悸といった状態になりにくい。分解能力が高いとされるN型を両親から受け継いだタイプです。日本人の50%程度が活性型と言われています。
不活性型(ND型)………両親から分解能力が高いとされるN型と、分解能力が低下したD型をそれぞれ引き継いだタイプで、飲めないわけではないのですが、基本的にはお酒に弱いタイプ。お酒を嗜んでいない場合、顏が赤くなりやすい。割合的には日本人の40%ほど。
失活型(DD型)………両親から分解能力が低下したD型を引き継いだALDH2が完全に失活したタイプ。お酒に弱いどころか、全く飲めない。少量を飲んだだけでも動悸が激しくなり、顏が真っ赤になります。奈良漬けを食べただけでも酔っぱらってしまう。日本人の10%がいわゆる下戸といわれています。
ちなみに、黒人や白人は不活性型は皆無で、100%が活性型だそうです。
両親からの遺伝と記してある通り、残念ながら、このALDH2が活性化どうかは先天的に両親から受け継いだもので、後天的に活性化させることは不可能とされています。
でも、「お酒は飲めば飲むほど強くなる」という話を聞いたことがある、という方もいると思います。
不活性型に限って言えば、お酒は鍛えることで強くなる場合もあります。
もともとALDH2の活性が低くても、アルコールを飲み続け、アルコール代謝を繰り返すうちに、ALDH2の活性が徐々に高くなっていきます。
飲み続けることで、アルコールへの耐性がアップしている状態です。
これを「酵素誘導」といい、アルコールは基本的にALDH2によって分解されるのですが、大量飲酒をした場合は「薬物代謝酵素」も誘導され、アルコールの分解を助けるのです。
つまり、不活性型の人でも飲酒を続けて、酵素誘導を繰り返せばアルコールの分解能力が高まり、フラッシャーを感じにくくなります。
お酒に強くなるのなら良いじゃないか? と思うかもしれませんが、実は良い事ばかりではありません。
酵素誘導を続けて薬物代謝酵素(CYP3A4)の活性化を強めていくと、今度は薬の代謝に影響を及ぼすことになります。
有効成分の代謝スピードが変われば、薬を飲んだときの効果が低下することがわかっています。
効果が下がってしまう薬の中でも、とくにアダラート(降圧剤のカルシウム拮抗薬)やベンゾジアゼピン系睡眠薬(ハルシオン)のほかにも、血栓予防薬(ワーファリン)、高コレステロール血症治療薬(スタチン)これらを服用されている方はくれぐれも注意してください。
失活型の人は自分からお酒を飲むことはないと思いますが、酵素誘導でお酒に強くなった不活性型の人は注意が必要です。
もともとお酒に弱い不活性型の人が、飲み続けてお酒に強くなったといっても、活性型の人に比べるとお酒が残りやすいく、アセトアルデヒドの毒性に長くさらされることになるので、二日酔にもなりやすいし、また、咽頭がんや食道がんになる確率が高くなってしまいます。
また、活性型の人もお酒に強い分、大量飲酒をしやすい傾向があり、アルコール依存に陥りやすいというデータもあるので注意してください。
以上のことから基本的にアルコール分解能力は、持って生まれた体質なので、「酵素誘導」などの裏ワザを使わない限り、活性化させることはできません。
二日酔にならないようにするには?
あの辛い二日酔いにならないようにするには、ひとつはその原因となるアセトアルデヒドをすぐに分解し、身体に溜めないようにすることと、もうひとつはアセトアルデヒドの量を増やさないようにすることでしたね。
ですが、ひとつめの方法であるアルコールの分解能力というのは持って生まれた体質で、アセトアルデヒド分解脱水素酵素(ALDH2)の働きにあることが分かりました。
そしてこれを意図的に高めることは難しく、また、いくらお酒に強い人であっても飲み過ぎれば二日酔いになります。
ALDH2の働きを劇的に高める効果のあるお薬や健康食品などは現在のところないそうです。
つまりアセトアルデヒドをすぐに分解して、身体に溜めないようにするのは非常に難しいのです。
では、もうひとつの方法、アセトアルデヒドの量を増やさないようにするにはどうしたらよいでしょうか?
アセトアルデヒドは、アルコールを分解する際に発生する有害物質でした。
この有害物質が血液に乗って全身を巡ることで、頭痛や吐き気、動悸、冷や汗などの不快な症状が現れるのでしたね。
つまり一番の二日酔い対策は、アセトアルデヒドの血中濃度を上げないようにすることです。
アセトアルデヒドはアルコールを分解する際に生み出される代謝産物です。大量のアルコールを飲めば、それに応じた大量のアセトアルデヒドが発生します。
分解できなかったアセトアルデヒドが長く身体に留まり続けることが二日酔いの原因だというのなら、その量を減らしてあげればいいのです。
アセトアルデヒドを、ちゃんと分解できる量に留めてあげることです。
誰にでも実践出来て、なおかつ効果的な二日酔い対策は、アセトアルデヒドの量を増やさないということになります。
「それってつまり、適量を飲めってことでしょう?」という冷ややかな言葉が聞こえてきそうで恐縮ですが………
ぶっちゃけて言ってしまえばそういうことです。
もちろんそれが難しいのは十分理解しているつもりです。
私自身、お酒を飲んでいる時は適量なんて守れていませんでした。
そして飲んでいる時はよく「酒は百薬の長だ」とか「お酒で身体の中を消毒しているんだ」とか嘯いていました。
適量なんて意識したこともありませんでした。
その結果として、アルコール依存症になってしまいました。
でもだからこそ、「百薬の長は、百毒の長にもなる」ということが実体験としてわかりましたし、お酒やアルコールの勉強をしていくなかで、お酒は飲み方次第で毒にも薬にもなるということをよく理解できました。
もし当時、飲酒をしていた頃の私が知っていたら、また今とは変わっていたかもしれない「飲み方」を皆さまにもお伝えできたらと思います。
後編では、アセトアルデヒドの量を増やさないお酒の飲み方をご紹介します。
興味のある方は、是非お付き合いください。