アルコールが脳に及ぼす効果と影響!
こんにちは。
熊本の禁酒カウンセラーの溝尻啓二です。
今回の記事は、私たちがお酒に酔うとき、アルコールが脳にどのような影響を及ぼしているのかを書きたいと思ます。
お酒を飲むと陽気になります。開放的な気分になって、楽しくい気分になります。
そんなポジティブな反応とは裏腹に
急にい泣き出す人や、くだを巻く人、暴力的になる人など、まるで性格が変わったかのような言動や行動をする人もいます。
飲んでいるのは同じ「お酒」です
なのに、どうしてこのような両極端な行動を私たちはしてしまうのでしょうか?
テレビでは毎日のように飲酒運転や、未成年にお酒を飲ませた、酔って暴行したなどお酒絡みの事件が報道されてます。
飲酒運転の報道があるたびに「馬鹿だなあ………どうして逃げたんだろう」とか。
お酒絡みの事件のが起きれば「あの人が、そんなことをするなんて………信じられない」とか。
このような行動は普通の状態ならば、絶対にやらない行動ですよね。
どうしてそのような問題行動をとってしまうのか、それはアルコールが私たちの脳に与える影響に関係しています。
お酒を飲むと最初は気持ちがいいのに、いつの間にか笑ったり、泣いたり、怒ったり、感情がどんどん不安定になっていきます。
そして飲み過ぎれば手足がもつれ、意識が混濁して泥酔状態に………
アルコールは私たちの脳にどのような影響を与えているのでしょうか?
➀脳内の神経細胞が、徐々に働かなくなる
アルコールには主に2つの効果があります。
【麻酔効果】
脳がマヒして麻酔がかかったようになり、痛みを感じなくなります。
【不安の解消】
脳内物質のGABAを増やすので、抗不安薬と同じ効果があります。
そして、脳の中では、神経伝達物質が情報をやり取りすることで、快楽や陶酔感などの感情をコントロールしています。
【主な神経伝達物質】
【ドパミン】
覚醒や快楽、陶酔感などを与え、攻撃性や創造性を生み出すなど、前向きな姿勢にさせる働きがあります。
【セロトニン】
気分を明るくさせ、やる気を出させる働きがあります。運動、食欲、睡眠、不安などにもかかわっています。
【GABA】
神経の働きを鎮め、不安や緊張を解消してリラックスさせる作用があります。
【ノルアドレナリン】
神経を興奮させる働きがあり、不安や恐怖を引き起こします。ストレスはノルアドレナリンの働きを高めます。
お酒を飲み、アルコールが脳に回ると、これらの神経伝達物質の働きが高められます。
<物質が脳に作用する>
脳内で、それぞれの部位でドパミン神経路を刺激
⇓
<ドパミンが大量に放出される>
⇓
<中枢神経が興奮>
⇓
<快感>
恍惚感や幸福感で脳内がいっぱいになる
⇓
<さらに副交感経も活性化>
⇓
<身体にも快感>
リラックス状態になる。血圧が下がり脈拍数も減って身体がゆったりする
これが『酔っぱらう』ということです。
➁アルコールは脳の神経細胞をマヒさせる
お酒の席に出ると、見知った人の普段と違う一面が見られたりしますね。
あの怖い人が、お酒を飲むと気さくになったり。
いつも冷静なあの人が、お酒を飲むと急におしゃべりになったり。
気の小さな人が、大きなことを言いだしたりと、実に様々です。
このような経験は、お酒を嗜まれる方なら経験したことがあると思います。
なぜこのようなことが起こるのか?
実は脳の神経細胞を包む細胞膜の成分は、脳の部位によって違い、アルコールを通しやすいところと、通しにくいところがあるからです。
人間の脳の大まかな構造として、ざっくり三種類に分かれています。
その脳の構造と行動様式から、人間の脳は、
「爬虫類脳」⇒「旧哺乳類脳」⇒「新哺乳類脳」の順番に進化し、機能を追加して高度化させてきたと考えられています。
これを、『脳の三層構造説の仮説』と言います。
【爬虫類脳】
爬虫類脳は最も古い脳器官で、自律神経系の中枢である脳幹と大脳基底核で成り立っています。呼吸や心臓の活動、血圧、体温など基本的な生命維持の調節機能です。これを「生命脳」と呼びます。
【旧哺乳類脳】
旧哺乳類脳は爬虫類脳の次に進化した脳器官で、海馬、帯状回、偏桃体といった大脳辺縁系から成り立ちます。ここは快・不快という本能的情動や感情、行動を起こす機能を担い、危険や脅威から逃避する反応、外敵を攻撃する反応など、原始的な防衛本能をつかさどる脳の部位です。大脳辺縁系は「情動脳」とも呼ばれます。
【新哺乳類脳】
新哺乳類脳は最も新しい脳器官で、大脳新皮質(右脳・左脳)のことです。言語機能や記憶・学習能力、創造的思考能力など、高次脳機能の中枢で知性・知能の源です。大脳辺縁系を別名「情動脳」と呼ぶことから、大脳新皮質は「知性脳」とも呼ばれます。この知性脳は、それ単体では高い機能は発揮できないとされています。情動脳や生命脳と連携することで高度な機能を発揮します。
アルコールは最初にこの『大脳新皮質』の細胞膜を通って細胞の働きをマヒさせます。
飲み始めに、気分が高揚し、解放的な気分になるのは、理性的な働きをしている大脳新皮質の働きが低下し、情動や感情などの本能的な大脳辺縁系の働きがあらわになるからです。
しかし、これ以上、飲み続けると、アルコールの影響は脳の深い部分へと及ぶことになり、泥酔してしまいます。
『酔い』の変化というのは、まずアルコールを飲み続けると、
まずは高度な知的活動をする「知性脳」が、
次いで、情動や感情などをつかさどる「情動脳」が、
最後に生命維持に重要な機能を果たしている「生命脳」が順番に低下していきます。
その過程で、ほろ酔いから酩酊、泥酔、昏睡へと移っていきます。
また、脳全体がマヒするようになると、吐いたものを気管に詰まらせたり、呼吸中枢がマヒして、死に至る例もあります。
➂大脳新皮質がマヒすると、理性的な思考が阻害される
私たち人間の理性的で知性的な言動や行動には、感情のコントロールは欠かせないわけですが、アルコールは最初に『大脳新皮質』の働きをマヒさせます。
飲酒運転をしてはいけない、というのは普段なら誰でもわかっていることです。
誰も「よし! 今夜は飲酒運転しよう!」などと思う人はいません。
飲酒運転をしないというのは一般常識ですし、酔っぱらっていたからと言って暴力が許されることはありません。
これは社会のルールです。破れば罰され、自分や家族の人生を破滅させてしまいます。
だからそれらを守ろうと、私たちは『理性的』に考えます。
これは『知性脳』がちゃんと機能している証拠です。
ですが、お酒が入るとどうなるでしょうか?
『知性脳』の働きが低下して、感情や本能を司る『情動脳』の働きがあらわになるわけですから、『理性』や『知性』が低下し、気楽で本能的な気分が強くなり、気がが大きくなったような気持ちになってしまいます。
そして、お酒を飲んでいるのに「これくらい大丈夫」「交通事故なんか起こすはずない」「平気、平気」と車を運転してしまったりするのです。
交通事故でも起こそうものなら、『理性や知性』が低下してしまっているので、常識的な考えなど働きません。
感情のコントロールが効かなくなり、結果、そのときの感情のまま『激情に任せて暴走』してしまうことになります。
そうしてテレビで報道されるような事件を起こしてしまうと考えられます。
➃実際に私も……
白状すれば、飲酒運転をしていたことがあります。アルコールが抜けないまま仕事にいっていました。
夜中にお酒が切れた時には、夜中にコンビニまでバイクを走らせたこともありました。
飲酒運転は悪い事だというのは理解しています。でも、そんな理性は働いていませんでした。なんの根拠もなく「いつも行ってるから大丈夫。警察なんかいるわけない」などとたかをくくっていました。
素面では絶対にしないであろうことを、お酒を飲んでいたときには平気でやっていたのですから………『知性』『理性』が働いていなかったのがよくわかります。
もちろん、お酒を飲んで私のような行動をするのはごく少数なのかもしれません。お酒を飲んだ人全員が、理性的でなくなるというわけではありません。でも、テレビで報道されるような人が少なからずいるのも事実です。
なので、お酒を飲むならば心地よい段階でとどまるように心がけるようにしてみてください。
酒量を、清酒なら二合程度にしてみてください。
個人差はありますが、清酒二合程度なら、6~8時間で排出され、翌日に残ることはありません。
清酒二合程度じゃ物足りないよ! という方もいらっしゃると思います。
ですので、肝臓が1日に処理できるアルコールの目安も記載しておきます。
・ビール大ビンなら 5本
・ウイスキーダブルなら5杯
・ 清酒なら 5合
これ以上を毎日飲むなら、危険な「大量飲酒」と言われていますので要注意です。
➄まとめとして
アルコールは、うまく付き合えば、ストレス発散になり、明日への活力がわいてくるというプラスの面があります。
その一方で、マイナスの面があるのも事実です。
肝臓など内臓への負担も、もちろんそのひとつです。
もうひとつは、この記事の最初に述べたように、アルコールは脳内の神経伝達物質の分泌を促します。
このように外部からを繰り返し体内に取り込むことを続けていると、実は「やめたくても、やめられない」状態になっていく場合もあります。
それは、アルコールという物質が及ぼす脳への働きです。
アルコールを摂取すると、神経伝達物質が大量に放出され良い気分になるわけですが、こうした物質が外部から取り入れることに慣れてしまうと、脳は神経物質の生成を怠るようになり、外部からの摂取に依存するようになってしまいます。
お酒をやめると、こうした神経伝達物質の外部供給が無くなってしまうため、精神が安定しなくなり、感情や精神、睡眠などに影響が出ます。
これが『離脱症状』と呼ばれるものです。
アルコールには早期離脱症状と後期離脱症状の二種類があり、早期離脱症状はお酒を断って数時間すると出現し、後期離脱症状は飲酒をやめてから2~3日で出現し1週間ほど続く場合があります。
離脱症状と聞くと、「薬物」をイメージしてしまいますが、アルコール飲料の主成分は、エチルアルコールという立派な依存性薬物です。
離脱症状がアルコールでも引き起こされることはあまり知られていませんが、お酒を飲んで問題行動を起こさない方であっても、もし定期的にお酒を飲んでいるのなら、なんらかの形で精神や身体に離脱症状が現れています。
代表的な症状のとして、手や全身の震え、発汗(特に寝汗)、不眠、吐き気、嘔吐、血圧の上昇、不整脈、イライラ感、集中力の低下、幻覚(虫など)、幻聴などがあります。
早朝覚醒や中途覚醒なども離脱症状と考えられます。
つまり、このような不快な離脱症状を回避しようとして、本人の自覚なしにお酒の量が増えてしまうのです。
こうなってしまうと『アルコール依存症』になってしまう危険がかなり高くなります。
毎日お酒を嗜まれている方は、ぜひ気を付けていただきたいと思います。