脳を興奮させて快感を得る

陥りやすい性格傾向はとくにないと言われています。物質依存症になりやすい人は、かつては逃避的で非社交的な人、わがままで規範にとらわれない人、小心者で完全を求めがちな性格の人など、とされていました。しかし現在では、それ以外の性格の人にも多く見られ、なりやすい性格傾向はないとされています。
つまり、逆に言えば誰でもが物質依存に陥る可能性があるともいえるのです。

物質依存症に陥る要因

【個人】
物質依存症になりやすい要因は、性格よりも成育歴が重要との見方があります。親の不適切な養育態度や別離などにより、母親との一体感を得ることができなかった人は物質依存症になりやすいと考えられています。

【物質】
依存の対象となる物質が、入手しやすいものであればあるほど、依存症の危険性は高くなります。また、それを摂取する量が多く、期間も長ければ、それだけ依存を進めてしまうことにもなります。

【環境】
身近に物質依存症の人がいたり、酒やタバコに寛容な風潮は、依存へのハードルを低くします。家庭環境や社会情勢、文化的背景なども、物質依存症に陥らせる要因になりえます。

・脳の中では、神経伝達物質が情報をやり取りすることで、快楽や陶酔感などの感情をコントロールしています。
アルコールやニコチン、ドラッグなどが脳に入ると、神経伝達物質の働きを高めてしまいます。
物質を繰り返し体内に取り込むと、「やめたくても、やめられない」状態に陥っていきます。その秘密は、物質が及ぼす脳への働きにあります。

・主な神経伝達物質

【ドパミン】   ………覚醒や快楽、陶酔感などを与え、攻撃性や創造性を生み出すなど、前向きな姿勢にさせる働きがあります。

【セロトニン】  ………気分を明るくさせ、やる気を出させる働きがあります。運動、食欲、睡眠、不安などにもかかわっています。

【GABA 】  ………神経の働きを鎮め、不安や緊張を解消してリラックスさせる作用があります。

【ノルアドレナリン】 …神経を興奮させる働きがあり、不安や恐怖を引き起こします。ストレスはノルアドレナリンの働きを高めます。

<物質が脳に作用する>
脳内で、それぞれの部位でドパミン神経路を刺激

<ドパミンが大量に放出される>

<中枢神経が興奮>

<快感>
恍惚感や幸福感で脳内がいっぱいになる

<さらに副交感経も活性化>

<身体にも快感>
リラックス状態になる。血圧が下がり
脈拍数も減って身体がゆったりする

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