分かっていてもやめられないのが依存症です。本来、依存は全てが悪いものではありません。何かに依存せずにいられないのなら、よい依存に変えてみてはいかがでしょうか?
人的ネットワークの可視化
どのような人とどの程度の付き合いをしていますか。関係の近さや内容によって、人的ネットワークは大きく3グループに分けられます。平均的には合計24~27で構成されています。
➀のグループ………「家族」「親友」「配偶者」
長期的に安定したメンバーで変わることなく付き合える。
➁のグループ………「近い親戚」「職場や近所の友人」
信頼できるメンバーだが、時間とともに変わることもある。
➂のグループ………「同僚」「上司」「隣人」「医療従事者」「遠い親戚」
時間と共に変化しやすく、やや疎遠な関係。
対人関係をチェックし依存するものを見直す
苦しいときやさびしいとき、人と話をすれば楽になります。しかし、たとえ家族であっても一定の距離を保つことも大切です。人との付き合いには、親しさによって適切な距離があります。信頼できない人につくして騙されたりしないよう、自分の人的ネットワークを見直してみるのもいいかもしれません。
依存する対象も変えてみましょう。家族や周囲の人の迷惑にならないことや、生活を破綻させないものにします。ほどほどの依存にするためには、対象を複数にしてみると効果的です。悩みを相談できる人、愚痴を言える人が複数いれば、ひとりに依存しなくてすみます。
また、現在依存しているもののほかに、これまで好きなことはなかったですか? あるいは興味をもっていることはありませんか? たとえば、以下のようなことならよい依存といわれています。
・図書館に通って読書。
・スポーツジムに通う。
・ボランティアを始める。
・料理作りに凝ってみる。
・ワークショップに参加する。
・何か習い事を始める。
人的ネットワークの応用・サポートネットワークの可視化
日々生きていく中で、いちばん苦しいのが「孤独」です。人間の三大欲求というと「食欲」「性欲」「睡眠欲」が一般的な意見でしたが、最近の研究では四大欲求という意見もあります。その4つめの欲求というのが「集団欲」です。
その理由も単純で、食欲や性欲を満たすには、孤立してるより集団に属していた方が都合がいいからです。集団でいた方が食事にありつけるチャンスも、パートナーを得て子孫を残すチャンスも増えます。、集団でいいれば睡眠も安全にとれます。人は本能的に「人と関わりたい」という欲求を持っているのです。実際に、誰にも相談できず、ひとりで抱え込んでしまう人ほど、ストレスの悪循環に陥りがちです。人はみんな「支え合い」の中で生きてるといえます。
この「支え合い」とは、実際に会って話し、相談に乗ってもらうことだけではありません。辛いときに、離れて暮らす家族の顔を思い出すだけで元気になれることがあると思います。友達や恋人の存在を思うだけで励みになることもあるでしょう。
会って顔を見て会話できればそれにこしたことはないですが、「いざとなったら頼れる人がいる」、「自分は独りぼっちじゃない」、それを知っておくことが大切なのです。そのために、自分のまわりにいる「頼れる人」を書き出した「サポートネットワーク」を作成してみましょう。
サポートネットワークと聞いて、「そんな人いない!」と思う方がいるかもしれません。でも、親しい人ばかりで埋める必要はありません。
ここでも「質より量」です。深い話ができる人がひとりいるより、挨拶やちょっとした世間話ができる程度の人が沢山いたほうが、楽に生きられることもあります。
ですので、サポートネットワークにも、「うすいつながりの人」をどんどん加えてみましょう。いつも道であいさつする人はいませんか? 立ち話程度のご近所さんは?
笑顔を交わすだけの人は? たとえば次のような人を思い浮かべてみて下さい。
「会社の受付の人」「休憩室でよく合う別の部署の人」「よくご飯を食べに行く飲食店のスタッフ」「数年に一度会うくらいの旧友」「子供の保育園の保育士さんたち」「近所のコンビニの店員」「たまにすれ違う近所の人」「掛かりつけの病院の看護師さん」………etc.
こうして考えていけば、すぐに何人か思い浮かぶのではないでしょうか?
ネットワークに加える人は、有名人でもかまいません。とくに、スポーツ選手の活躍を支えにする人は男女問わず多いです。タレントや俳優、架空の人物ならアニメや漫画キャラクターは定番です。私は漫画やアニメは大好きで、名言や感動するシーンも多く、よく利用します。「このキャラクターならきっとこう言ってくれるはず」とイメージしたりします(笑)
歴史好きの人は、戦国武将もいいと思います。三国志の登場人物なんかもいいですね。「顔を思い浮かべるだけで元気になれる」ので、私は亡くなった祖母を加えたりしています。
あるいは、ペットや近所で見かけるや飼い犬、野良猫などでもけっこうです。実際に声には出さなくても「あ、今日もいるな」なんて思い、心の中で声をかけることはあるのではないでしょうか?
その存在が自分の助けになるなら、すべてサポートネットワーク一員です。ひとりひとりの存在は小さくても、すべて集まれば心強いサポートになるのです。そんなネットワークを可視化することで、自分がたくさんのサポートに支えられているのだと気付けます。
書き方は簡単です。
➀まず、用紙の中心に〇を書いて、そこに「私」と書きます。
➁最初に「私」と書いた〇を、囲むようにして〇を書いていきます(最初は8個くらいでもOKです)。
➂この〇の中にサポートネットワークの隊員達を書き込んでいきましょう。
➃サポートネットワーク隊員達の名前を書き込んだ〇から、中心の「私」に向かって矢印を繋げていきます(必要に応じて〇を増やしてください)。
「うすいつながりの人」だけでなく、両親や友人など、本当に助けてくれそうな人もしっかり書き出していってください。
そして、これを普段から持ち歩くと効果的です。「ストレスだな」と感じたらすぐに取り出し、眺める。頭の中で「この人ならこう言ってくれるはず」とイメージする。それだけでも、十分な癒し効果を発揮してくれるでしょう。
もちろん、必要だと感じたら実際にそこに書き出した人たちを頼ってみて下さい。
このように書き出して視覚化すことで、客観的に分析できるので、誰かにだけ依存しないでいられるかと思います。1人目がダメでもダメでもくじけないで下さい。2人目、3人目と相談していき、「4人目でやっと救われた」ということも珍しくありません。