Q【お酒を飲むと勇気が出る?】
A【結論から言うと、出ません】
アルコールを飲むと、陶酔効果により身体機能が低下することが科学的に証明されています。
陶酔状態になると、恐怖を感じる機能もマヒします。恐怖心が小さければ、それを取り除く勇気も少なくてすみます。お酒は勇気を与えてくれるのではなく、恐怖心を鈍らせるだけなのです。飛行機恐怖症の人の中には、搭乗前にお酒を飲んでわざと酔いつぶれる人もいます。これはお酒で飛行機に乗る勇気が出るからではなく、恐怖心を消すために飲んでいるのです。
以前勤めていた会社での飲み会でのことです。はじめは皆さん礼儀正しく挨拶を交わしたりします。しかしお酒が進むにつれ、普段は真面目で大人しそうな男が、飲み会が終わる頃には、役職者の肩に腕を回し、酒臭い息をその人の顔のい吐きかけながら、「今の会社の経営はどこか間違ってる」だの「今の責任者は全然責任を取ろうともしない」「俺ならもっとうまくやれるね」などと大演説を始めるのです。
それで役職者は「こいつは仕事のできる男みたいだな、こんど大きな責任ある大事な仕事を任せてみるか」となるでしょうか?
たぶん、ならないでしょう。男が酔った勢いで息巻いているのは明らか。「来年はこういつの隣には座らないようにしよう」と心に決められるのが落ちです。
恥ずかしい話ですが、これは私のことです………
何も覚えてないのです。でも次の日には羞恥心と罪の意識に苛まれたことはよく覚えています。
これを読まれてる方も、自分の経験を思い返してみてください。
酔っ払いの言葉に感動した経験はありますか?
ぐでんぐでんに酔っぱらって「すっごく楽しい!」と心底思ったことはありますか?
酔っぱらったことを、後で誇りに思えたことがありますか?
大酒飲みの人間が人生のお手本だと思ったことがありますか?
私は思われえた経験も、思った経験もありません。
大酒飲みは「お酒の力を借りないと何もできない臆病者」くらいにしか思われないのです。
お酒を飲むと勇気が出る、というのは誤解です。
お酒はただ恐怖心と自制心をなくすだけなのです。
Q【お酒を飲むと外交的になる?】
A【お酒を飲むと恐怖心が小さくなります。そして、さらに抑制心も低下します】
制心も人間にとっては大事な防衛機能のひとつでしょう。不安との一種とも言えます。物理的な危機に対する不安だけではなく、精神的な不安「自分は愚かに見えるんじゃないか誤解されているんじゃないか?」といった、「内気さ」「自信のなさ」とも言えます。
恐怖心と同様、お酒を飲んでお酒それらを克服することの何がいけないのでしょうか?
お酒はそれしかできないからです。
ふたりの若者が、ガンの付け合い飛ばし合いでケンカになることがよくあります。殴り合いケンカはまず、お互いが胸を突き出して暴言を吐く儀式から始まります。今にもケンカしそうな二人ですが、今にも殴り合を始めるぞという緊張感を高めながらも、「相手が引き下がってくれないかなあ、ケンカしないですめばそれがいいんだけどなあ」と思っているものです。ですので、口論を始めたその二人が実際に殴り合いのケンカに発展することはあまりありません。
しかし、これがお酒に酔っていたら話は別です。
お酒の影響で痛みに対する恐怖心がなくなる上に、人を傷つけること、そして自分が傷つくことに対する自制心も失ってしまいます。
もう一つの典型的で代表的な例が『飲酒運転』でしょう。ここで白状しますが、私は頻繁に飲酒運転を繰り返していました。家で飲んでいてお酒やつまみの買い置きが無くなると、近くのコンビニまで車両を運転して行くという危険な行為を繰り返していました。
お酒を飲むと痛みに対する恐怖心が消え、普段よりスピードを上げてしまい、さらにスピードに対する恐怖もなくなります。安全に対する感覚が完全に狂ってしまうのです。飲酒の恐ろしいところは、痛みに対する恐怖心がなくなること以上に、抑制心までもなくなってしまうことです。お酒で身体の機能が鈍るだけでなく、責任感も薄れてしまうことです。
Q【お酒を飲むと精神が安まる】
A【逆です。むしろ不安定になります】
大量にお酒むのが習慣になり、健康が損なわれると、エネルギーレベルも下がり、勇気も自信もなくなります。肉体的、精神的に落ち込んでいる時には飛び越えられそうな小さな柵も、乗り越えることが不可能な大きな壁に見えてします。
たとえばストレスですが、一言にストレスといっても様々です。
私たちはストレスと言うと一般化して「悪いもの」として捉えてしましますが、肉体的な痛みも精神的な痛みも、脳のレベルでは同じ痛み『痛み=ストレス』なのです。
「わからない」という状態もストレスです。そして分からないという状態は、コントロールできていない事と同義です。コントロールされてない状態とは「危険」なことです。生物には生存欲求があります。人間にも深い部分で安全や安心を求める本能があるのです。ですから人間は『コントロールできない(わからないこと)こと』があるとそれを「知ろうとする」か、反対に「逃げようとするか」のどちらかの行動をとります。そのどちらもが安心、安全に繋がるからです。
「わからないというストレス」は「好奇心」や「分からないことを早く解消したいという気持ち」を作り出し、それがが高いモチベーションを作り出すこともあるのです。これは推理小説を読んでいるときやサスペンス映画を見てるとき、恋愛で片思いをしている時などに実感される方も多いと思います。
ストレスが高いモチベーションになることだって往々にしてあることなのです。
根本の原因を解決しないで、不安や痛みやストレスだけを解消しようというのは危険です。
最近では、精神安定剤の処方に消極的な医者が増えているそうです。精神安定剤にはお酒に似た効果があることがわかってきたからです。
精神的に迷っている人にとって、一番の治療法はストレスの原因を解消することです。精神安定剤ではそれができないのです。
薬の効果が消えてしまえば服用者の身体は最初の状態に戻ります。また同じ薬を服用しなくてはなりません。そうしてどんどん飲み続けるのです。そして身体は薬に対して免疫を付けます。すると、薬の効果が薄れるので、服用量はどんどん増えて、最後には薬が全く効かなくなってしまうのです。
そしたらどうしますか? もっと強い薬を見つけてくるのです。こうして服用者の身体はボロボロになっていきます。一方で、ストレスの原因にも対処しなければ、服用者はさらにストレスをため込みます。
どんな薬でも肉体的そして精神的な副作用がありますが、一番問題なことは、服用者が薬に依存してしまうことです。医者に処方された薬でもそうなのですから、お酒のように強い中毒性があって人間の五感を少しづつ麻痺させていくモノに逃げ込むと、もっと悲劇的なことになってしまいます。
これは私の実感でもありますが『お酒を飲んでもストレスはなくならない』ということです。むしろ、お酒はストレスをなくすものではなく、反対にストレスの原因になりえるのです。
何かに失敗したとき、人は悲しみを紛らわす為にお酒を飲むこともあるでしょう。しかし、それで楽しい気分になることはありません。本当の悲しみはちょっとやそっとのお酒で紛れたりはしないものです。
嫌なことを完全に忘れるためには、大量のお酒が必要です。大量のお酒で身体の感覚を麻痺させなくてはなりません。けれども酔いが醒めれば、悲しみはまだそこに存在します。そしてその悲しみは前よりもっと大きく見えるでしょう。
自分に自信をつけたり、引っ込み思案な性格を直すためにお酒を飲んでいるという人もいるかもしれません。苛立ち、心配、恐怖心など、あなたが暗くなったり落ち込んだりする原因から逃れる為にお酒を飲んでいるのなら、それはとても危険なことです。
それら原因には何か正当な理由があるはずですし、必ず解決策もあるはずです。心理カウンセリングなどはそのひとつでしょう。お酒を飲んで問題から逃げていたのでは、不幸の原因を取り除くことは一生できません。
Q【お酒を飲むと楽しくなるのか?】
A【お酒は人を不幸になる原因ナンバーワン】
成人の死亡原因ナンバーワンはタバコです。一方のお酒は人を不幸にしている原因のナンバーワンです。
お酒が本当に人を楽しい気分にさせるのか考えてみてください。
飲み過ぎて何度も嘔吐し、まっすぐ立つこともできず、自分の周りで部屋がぐるぐる回っている状態が楽しいといえるでしょうか?
出席した披露宴や親睦会がトラブルやけんかで終わってしまったという経験はありませんか? ドラマや映画ではよく飲み会の出席者が全員些細ないざこざに巻き込まれてドタバはタ騒ぎを起こすシーンもありますが、現実にはそんな面白おかしいけんかなどは絶対存在しません。もしお酒で楽しくなれるのならば、よって暴力を振るったり鬱になったりはしないはずです。
もし可能なら、このような実験をしてみると実感できることでしょう。
まず好きなお酒をたっぷりと買い込み、テレビやラジオ、携帯、スマホ、PCなど気を逸らすものがない部屋へ閉じこもります。そして一杯、また一杯と、お酒がどんな味か、また身体にどんな効果を与えるかに神経を集中させながら飲んでいきます。
杯を重ねるごとに集中力が散漫になっていくことでしょう。笑い出す人も、悲しくなって涙が流れるてくる人もいるかもしれません。そうなってきたら自分にこう問いかけてみて下さい。
「これは本当に楽しい状態だろうか? まともに思考できない状態で一生過ごすことは、どういうことなのだろうか?」
一杯、また一杯と更に飲み進めると、お酒が身体に及ぼしている効果もわからなくなってきているということです。これは、お酒が周りの状況に対する洞察力を鈍らせ、身体の大切な機能を奪っているからです。
つまり、状況を楽しむ能力もお酒が奪っているということになるのではないでしょうか?
少量のお酒を飲んで楽しそうに笑っている人もいるにはいます。
では、どうしてその人たちは楽しそうにしているのでしょう?
それは、お酒とは何ら関係ありません。もともと楽しい場にいるからです。
結婚式、歓送会、食事会、飲み会、ライブ、パーティー、そういう場へ私達は「飲酒」ではなく「場」を楽しみに行っているのではないでしょうか?
つまり、お酒なしではそういう場が楽しくなということはないのです。必ずしもお酒が必要とは限らないのです。
お酒を飲まない人はお酒なしで十分にその場を楽しめるのですから。
お酒をやめてから、私はお酒が摂取できたから楽しかったのではなく、その「場」が楽しかったのだと気付くことができました。
逆にその「場」が楽しかったからではなく、お酒を摂取できたから楽し時間が過ごせた、ということが一回でもあったかと思い返しました。
お酒の初心者時代、お酒の味に慣れようと必死でした。飲酒そのものはそれほど楽しくありませんでした。
お酒の味になれたけど、トラブルを起こすほどではな段階。久しぶりに友達と食事に行くとき、美味しいものを食べること、友達と会えること、楽しい思い出話、レストランの雰囲気などを楽しみに出かけていました。決して「焼酎とビールを飲みまくれるなんてうれしい!」などとは思っていませんでした。
お酒が貴重なものに見えるようになったのは、飲酒の問題を抱えるようになってからのような気がします。
そう考えると、飲酒そのものが楽しいから飲むのではなく、お酒がないと惨めで物足りない気分になるから飲んでいたのかもしれません。
「そういえばあのとき楽しかったのは、お酒が楽しかったからではなく、他の理由があったからだ」と気付くことができたのです。
社交の場がなぜ楽しいのか、それは私にとってはお酒となんら関係なかったのです。だってもともと楽しい場にいたのですから。
居酒屋レストランに行ったとき、楽しそうにおしゃべりが弾んでいるグループをよく観察してみてください。中にはお酒を一滴も飲んでない人がいるはずです。グラスを覗かず、ただ顔の表情や声のトーンから、誰がお酒を飲んでいて誰がお酒を飲んでいないか当ててみましょう。意外にも、飲んでいない人の方が楽しそうにしているものです。
お酒を飲んでいる周囲の人を羨ましがって、自分を貶める必要はありません。
あなたの周りの人は皆、アルコール依存症という病気にかかっているのです。ただ、自分では気づいていないだけで…………いや、、ひょっとしたら、一生気づかないかもしれません。ですが、あなたが何かを損してるわけではないのです。
むしろ、損をしているのはお酒を飲んでいる人たちです。
健康、富、自信、集中力、自尊心、平常心、自由などを失っているのですから。アルコール飲料の主成分はえ依存性薬物のエチルアルコール、つまりエタノールです。
お酒を飲むということは、大なり小なりお酒に依存しているということに他なりません。ヘロイン中毒患者を羨ましがる人がいるでしょうか?
アルコール依存症も、他の麻薬中毒と同じで、どんどん悪くなることはあっても、良くなることはないのです。